「子どもの発達と診断」3幼児期Ⅰ 田中昌人
自我の誕生から拡大へ(1歳なかばから2歳前半の発達診断)

「感覚,直接記憶と感情の分化」
・知覚刺激を、これまで以上に認知することができ始めます。
   視覚:直径2,3ミリの白い円盤を見ることができたり、
      蛾や小さい虫を見つけることができたりするようになります。
   聴覚:ぜんまい時計の秒針のカチカチという音を
      約6センチ離れた距離(1歳児の場合の2倍)で聴くことができるようになります。

・初期の2次元的区別ができ始めます。
  視覚的区別:まだ「大きい」とか「小さい」という2次元の概念はもっていませんが、
        例えば自分より大きい魚の絵を見て「トト」と言うようになります。
  聴覚的区別:低い音と高い音を区別し、自分で低い音と高い音が出せます。
        まだ大人の指示に従って出すことはできませんが、自分なりに区別ができはじめます。
        これがもとになって、音声の模倣や調整ができ、言葉をふやします。
        また、不協和音よりも協和音を好み、音程は不安定でも、
        よく聴くメロディーを口ずさむなどの音感が発達してきます。

・その他の感覚器の感受性や区別する能力も高まり、調べる仕草も増えてきます。
  温度:お風呂に入る時に、手の先をお湯につけたり、
     お茶を飲む時に、湯飲みが熱くないか手を少し触れたりします。
  嗅覚:料理の匂いにひかれて台所へ来たり、手伝って運ぶ時にかいでみたりします。
  味覚:梅干しを食べた経験があれば、見てすっぱい顔ができるようになります。
     味に対する慣れや好みが出てきます。
  痛覚:痛かった部位を指すようになります。
  平行感覚:ブランコにつかまったとたんにブランコが動いても、すぐに転んだりしなくなります。
  リズム感:リトミックなどでは、立ったり座ったり走ったりの基本動作、
       手や首を使っての表現をし始めます。
  見当識:親しんでいる絵本の表紙を見ただけで、後に何が出てくるかが分かり始めたり、
      砂や水の中にかくれているものを手ざわりで当てる遊びをしたりします。

  内臓感覚:空腹感、満腹感、喉の渇き、お腹の痛みなどの訴えができるようになります。
       膀胱や直腸の感受性も高まり、排尿や排便の予告をすることができます。

・活動や感覚の拡大とともに、各種の感情が出てきます。
 最初のはっきりした話しかけはよく聴こうとしますが、
 同じことを繰り返し言われたり、させられたりすると、興味がうすれます。
 排尿を失敗した時の不快感も、はっきりしてきます。
 自分の持っているものが取られると、取り返そうとします。
 友達を押し倒そうとしたり、小さい子をかわいがってみたりします。
 許容されていること、禁止されていることが分かります。

・記憶力も増大します。
 しばらくぶりに会った人、前にたずねたことのある場所などを思い出すことができるのは、
 1歳後半で2,3週間、2歳前半で2,3ヵ月の期間であるといわれています。
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