子どもの発達と診断」3幼児期Ⅰ 田中昌人
自我の誕生から拡大へ(1歳なかばから2歳前半の発達診断)

「自我の拡大」
1歳後半と2歳前半は、自我の発達にとってきわめて大切な時です。
1歳後半には、名前を呼ばれると自分で自分を差し、自分の名前も言えるようになります。
2歳前半には、友達の写真を見て名前を言い、自分の写真も分かります。
このように、自我の誕生によって自分を対象化し、自分を認知し始めます。

2歳児は、他の人に座らせない自分のすわる自我の座をもっているかのように見えます。
機嫌よく遊んでいる時に、自分の座に他の子がすわると、
それまでの様子とは打って変わったように頑固に怒ります。
代わりのものが与えられてもだめで、自分がその座にすわると機嫌が直ります。
その座が他の人に使われさえしなければ、自分は新しい座にすわって遊びます。

このような幼い自我は、要求することとそれに対する大人からの働きかけによって、社会性をきづいていきます。
1歳後半には言葉で要求することへ、2歳前半には自分の名前をあげて要求することへ発展していきます。
また、何かに打ち込んで自我をきたえる一方で、相手に余裕を持った気持ちを向けてつながりを作り、
社会性をつちかっていきます。
食べ物などを器に入れ分ける時には、自分が一番多くなるよう入れ分けたり、
それをさらに別の人に分ける時は、自分のからではなく別の人の分から分けたりと、
自我がはっきり拡大してきます。
その一方で、赤ちゃんには自分の気持ちを配ることができます。
2歳後半になると、配分しなければならない人が増えると自分のを分けたりできる、
わかちあうことができる自我になり始め、3歳児以降には自制心が育っていきます。


1歳半の子どもたちはあくまで自分の意志を通し、なんでも自分のもの、自分のところに集めたいのです。
それが2歳になってくると「少しなら我慢できる」という心が芽生え始めます。
しかしながら、まだ圧倒的に自分の世界を守ろうとするこころ、欲張りな心の方が圧倒的に強いのです。
そういう時は、「なんで分けてあげられないの」というかわりに「小さいのだったらくれる?」
と声をかけてみましょう。
同じように「ちょっとまっててね。」の言葉に少し待てる我慢も出来るようになってきます。